【ネタバレ注意】ブルーアーカイブのイベントストーリー「魔法少女ヘヴィキャリバー」の内容を含みます。
ネタバレ注意いる?と思わないでもないほど今更ですが、
スズミの掘り下げと設定の活かし方があまりに巧みで感想書かずにはいられませんでした。
というわけで先日の魔法少女イベントの感想文になります。
スズミの設定&掘り下げがあまりに完璧
本イベントを読むまで私のスズミに対する認識は
- 正義感に熱い自警団
- ヘッドフォンで音楽を聴くのが好き
- ホドではお世話になっております
このくらいでした。
自警団についても正実と比べて小回りの利く遊撃部隊的な部活なのかなー程度の認識でした。
まさかそこに納得のいく理由を付けつつスズミのブルーアーカイブを詰め込まれるとは。
正義実現委員会ではなく自警団
本シナリオの根幹を成し、完璧な掘り下げとなった部分。スズミが自警団にいる理由。

魔法少女ヘヴィキャリバー 第8話 「守月スズミ」より
街のスケバンと戦うことよりも――
他人の目に、自分がどう映っているかの方が恐ろしくて……。だから……私は、正義実現委員会を辞めました。
魔法少女ヘヴィキャリバー 第8話 「守月スズミ」
……これが、守月スズミという臆病者の物語です。
正義実現委員会は「外部から『自分』を隠してくれる」部活でした。
一方で「内側からは共同体の一員として『自分』が注目されてしまう」部活でもありました。
他者と密接に関わる正実内部において「守月スズミ」が他の人の目にどう映るのか考えてしまうのが辛かった。これが正義実現委員会を離れた理由です。
だから「外部から『自分』を隠してくれる」部活でありながら正実のような「内部」を持たない部活として独りで自警団を作り、
その中でついた「トリニティの走る閃光弾」という名も気に入っていると語るのかなと。
「自警団」には治安を守る者のようなイメージが含まれますが、「トリニティの走る閃光弾」にはそれさえ薄いですからね。地震や嵐のような自然災害的な意味合いの方が近いのではないでしょうか。
「注目されたり、期待されたりするのが怖かった」、正義は行いたくとも「誰か」にはなりたくない。
そんなスズミにとっては自警団以上に心地よいペルソナだったのだと思います。
コンビニ強盗にも単身で立ち向かい、18対1でもスケバンを制圧しきったスズミにこんな一面があったなんてイベント前には思いもしませんでした。
でも今書いたように、どれもスズミって単身なんですよね。
誰かと絡むとしても同じ自警団のレイサとのやり取りがあるくらいで、レイサ以外の自警団とのやりとりすら明確な描写は無かった気がします。
それ故にレイサもスイーツ部での出番が多くスズミはかわいそうな立場だと言われていたこともありました。
その「一人でいること」に説得力を出しつつこんな人間的深みを持たせるなんて……!
ライターさんの力量に脱帽するしかありません。
なお通常衣装スズミとレイサのメモロビライターはスイーツ部を描かれたPrenguinさん。
もしかして本シナリオも…?だとしたら納得しかありません。後付けじゃなくて最初から練ってあった背景設定と言われても頷けます。
音楽を聴くのが好き
ここまでに明かされたスズミの「人の目を気にしてしまう」性格を考えると、ヘッドフォン等で音楽をよく聴くイメージにもまた違った一面が見えてきます。
スズミの愛用品は「パトロールヘッドフォン」。ローディングの1コマ漫画でも音楽を聴いている様子が描かれています。
でも趣味は「巡回・散策」なんですよね。音楽鑑賞主軸ではないんです。
イヤホンやヘッドフォンで音楽を聴くと周りの雑音をシャットアウトしてくれます。自分の世界に没頭することができます。電車内や街中で音楽を聴く理由の一つという人は多分少なくないはず。
だから人の視線や評価を気にしてしまうスズミの愛用品がヘッドフォンなの、個人的には納得しかなくて。
「他人の目に、自分がどう映っているかの方が恐ろしい」
この設定スズミの全てに新たな彩りを加えてくる……!
似たもの同士
そしてきっと「人の目を気にしてしまう」と聞いて誰もが思う事。
あれ?レイサとスズミって実は似たもの同士……!?
レイサはアクティブでから回ってしまう自分を自覚しているからこそ人目を気にしてしまい、
スズミは自分が上手く出来ているか失望させていないかで人目を気にしてしまう。
動と静の違いはあれど二人は根幹かなり近しい存在なんだと感じます。
だからこそレイサにとって一人でも黙々と頑張り続けるスズミはヒーローに映るし、
スズミの苦手な「自分を見られること」も自分と似た寂しさを持つレイサの視線には耐えられて連絡先も交換してるのかなぁなんて。
互いが互いを救っているというか。この二人だから分かり合える傷と絆があるというか。
いや本当にこの二人の関係本イベントでめちゃくちゃ味付けされましたね。二人の関係にさえ深いコクを出してきてますよこの神設定。
おまけ|自警団はスズミが作った?
こちらは蛇足かもですがちょっと気になって調べたので備忘録がてら。興味ない方はこちらで飛ばせます。
自警団について言及された記述はあまり多くなく、イベントストーリーの方が情報量が多いです。
イベントストーリー
- どたばたシスターと古書館の魔術師
- 第5,6話 トリニティの走る閃光弾(1)(2)
- 放課後スイーツ物語~甘い秘密と銃撃戦~
- 第2話 誰だって一つや二つくらい(1)(2)
- 魔法少女ヘヴィキャリバー
- 第8話 守月スズミ
メインストーリー
- エデン条約編3章
- 11話 加速する混乱(1)
- 最終編2章
- 13話 「トリニティ」自治区防衛(1)
結論から言うと「スズミが作った」とは言い切れないのが現状です。
ただ個人的な解釈ではスズミが作っていた方が筋が通るかなーと思ったのでイベントシーン順に語ってみようかと。

どたばたシスターと古書館の魔術師 第5話 トリニティの走る閃光弾(1)より
こちらは外部のスケバンから見た自警団評です。スズミに対して「お前のその『自警団』とやらの活動」と言っているのが注目点。
スケバンの論法としては「スズミの真似をして自分たちの悪質行為を邪魔する奴が増えてきたから真似の元となるスズミを倒してやる!」なので「スズミの『自警団』としての活動内容」が問題なのではなく「スズミの『自警団』という存在」が焦点と考える方が自然かなと。
つまりスケバン目線だと「自警団」はスズミ主体のものであるように読めます。

放課後スイーツ物語~甘い秘密と銃撃戦~ 第2話 誰だって一つや二つくらい(1)より
こちらは「各々、近隣の治安を守ろうと自発的に集まって結成されました」がポイント。特に「結成」というワードが入っているのが大きい。
先ほどとは違って「スズミが作った」のではない側の情報です。
ただそれも古書館側で言及された「真似してるやつら」が集まって「団」とは名前ばかりのソロ部が「組織」としての自警団になったと考えると一応理屈は通ります。

魔法少女ヘヴィキャリバー 第8話 「守月スズミ」より
そして最後に今回イベント。私がスズミが作ったと考える一番の理由はここです。
もし自警団がスズミが作ったものでないとしたら、この台詞は創設者に対して結構失礼なのではと思うのです。
失意の中とはいえスズミが所属させてもらっている組織に対してそんな発言をするイメージが全然ないんですよね。
唯一スズミが自らのエゴで作った部活である場合のみ、この台詞は自嘲の意味を持つことが出来る気がします。
さらに言うならば正実を抜けた理由は「集団の中で『自分』を見られるのが怖かったから」なので、その先がまた集団だとしたらちょっと引っかかります。
なので私は「自警団はスズミが独りで立ち上げたソロ部」説を推します。スケバン達が言うように後から真似する人が増えてきたのかなと。
理想的な余白-助けられたレイサ-
今回いいなーと思ったポイントの一つがレイサの言う「初めて助けられた時」の詳細があえて語られていない点です。

魔法少女ヘヴィキャリバー 第8話 「守月スズミ」より
語られなかったので私の想像でしかありませんが……まずレイサはとても強いです。
正義実現委員会とやり合って傷一つ無いカズサの全盛期中学時代とやり合う実力を持ち、
救援要請に駆けつけた時には既に複数人のスケバンを一人で片づけていたシーンまであります。
であれば「助けられた」のはそういった戦闘面ではなく精神面の可能性が高いのではないでしょうか。
そしてスズミは2年生でレイサは1年生。
進学後周りはカズサのように変わっていき、中学時代のような「正義のヒーロー」は「ごっこ」で恥ずかしいもののようになってしまった。
周りと同じように考えや価値観のアップデートができず、行動もから回ってしまい孤立を感じてしまうレイサ。
そこに一人でも黙々と正義の為に活動するスズミが現れたのかなって。それこそレイサの目にはヒーローのように映った事でしょう。
そして自分と似た周囲となじめない空気を感じたスズミもまたレイサを他人とは思えず手を差し伸べたのかなと。「初めて助けられた」は自警団に誘ってもらった事なのかもしれません。
と、これが正解とかそういうお話ではなく「こういう想像を膨らませられる余白っていいなぁ!」ということなのです。同人界隈で勢いがあるのもとても納得です。
私は昔東の方がめちゃくちゃ好きで例〇祭にも足しげく通ってましたが、そちらに似たほどよい余白を感じます。
似たところで言うとミカとナギちゃんの子供の頃のお話とかも空想のしがいありますよね。「ミカ!」がどれだけ多くの人の想像力を掻き立てた事か。
そんな想像力にあふれた素敵な一般同人誌をご存じの方、是非ご情報お寄せください。
まとめ|ライターさんの技量に脱帽
ほぼ前半で語りたいことは語り切ってますが、本当にスズミの設定が完璧に過ぎました。
1つの設定でキャラの魅力ってここまで引き出すことが出来るんだ……と文章・物語の力を存分に見せつけられた気分です。
後付けだったらこれまでの全てを回収しつつ説得力あるアイディアを出したのが凄いし、元々練り込まれたものだったとしたらそれはそれで凄い。ライターさんって凄い(語彙)。
元々かどうかについては古書館イベントで出てきた「誰かがやるべきこと」が今回登場したのが印象深いです。

どたばたシスターと古書館の魔術師 第6話 トリニティの走る閃光弾(2)より
ここでスズミが気づかされたような様子を見せて、暗転と同時に「本当に、ありがとうございます」と恥ずかしさのSE。元々設定は練り込まれてたのかもしれませんね。
スイーツ部ライターさんと百花繚乱ライターさん好きだ…。
最後にスズミの設定を見返している中で唐突に刺された画像で終わりたいと思います。それでは。

スズミ絆ストーリー EP1 トリニティの自警団 より
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