百花繚乱編2章後半|演出・台詞・設定活用が光るストーリーの感想

【ネタバレ注意】ブルーアーカイブのメインストーリーVol.5「百花繚乱編」2章の感想を含みます。

続きをはよ!と言っていた百花繚乱編2章「孤独に花を咲かせんとする君へ」の後半が公開されました。

ナグサの成長が一歩一歩丁寧に描かれていて、継承戦は設定の活かし方にも昂りましたね。

読んだ直後は「この料理を作ったシェフは誰!?お礼を言いたいのだけれど!?」状態でした。

ということで今回も良かったポイント語っていきます!

また気になったところは後日考察記事も上げてみようかなと。

心に残った場面とテーマ

ナグサの成長

正直一番語りたいのは「継承戦」なのですが、そのためにはナグサの成長は外せません。

1章では「私はアヤメにはなれない」と百花繚乱調停委員会から逃げ続けていたナグサ。

アヤメも助けられず、周囲の視線に怯え、シュロにその弱い心を暴露されたどん底の状態でした。

それでも先生の言葉や百花繚乱の皆に支えられ失いたくないものに気づき、

ボロボロの表情を見せながらも「演じ続ける」ことを決めました。※あのシーン本当良いですよね

そして前回語った通り、今度はその演じ元であるアヤメとの関係について弱さを見せつけられます。

私よりもずっと優秀で、あなたを待ち続けていたのに……アヤメは会えなかった。
どうしてあなたは、弱くて未熟な私の前に姿を現したの?

あなたが彼女を認めて、百連を持つ資格を授けてたら……。
……アヤメも、百花繚乱のみんなも、誰ひとり傷つかなかった。
……全部、変わらずにいられたのに。

――本当に、誰も傷つかないと思っておるのかえ?
アヤメが妾と出会い、百連を扱えていれば……いつまでも幸せな日々が続く、と?

 ※百花繚乱編2章 第20話「本当の姿」より

クズノハが指摘する通り、「誰ひとり傷つかなかった」と言えてしまうこのナグサはまだアヤメが見えていないように思えます。

百花繚乱編2章 第20話「本当の姿」より

こんな質問さえしてしまうナグサに、クズノハは問いかけます。

「『本当のアヤメ』はどんな姿をしていたのか」と。

そして「世に生きるものはみな、仮面を被っている」と説きます。

これは響いた事でしょう。なんせ彼女もアヤメに恥じない人になりたくて『必死に取り繕っていた』のですから。

そうしてクズノハは再度「其方の望む本当のアヤメは、どんな姿か」と尋ねます。

私が望む、アヤメ……。
私には……分からない。私はアヤメじゃないから……。

でも……分からなくても、アヤメが私を求めていなくても――
アヤメのそばに、いたい。

※百花繚乱編2章 第20話「本当の姿」より

この時初めてナグサは自分とアヤメの間に境界線を引けたのだと思います。

「本当のアヤメ」なんて分からない。

自分が知っているのは自分がこうだと思う相手でしかないから。怪書に作り出されたアヤメがまさにでしたね。

分かるのは自分の心だけ。

どれだけ拒絶されても「アヤメのそばにいたい」という心だけ。

この成長によってようやくナグサは「自分が描いたアヤメ」ではなく「現実のアヤメ」と相対できるようになりました。

それにしてもクズノハ先輩後輩指導上手すぎる。そりゃ大預言者とかも言われましょうて!

そうして迎えた第26話「暗く、深い影の底から」。

コクリコが持つ怪書「稲生霊怪録」によって百花繚乱の皆が己の弱さを自省させられる中。

……私は。
一人じゃ何もできない泣き虫。
大切な物に手を伸ばしても、全て零れ落ちて……壊れていくのを眺める事しかできなかった。

私は結局、アヤメになれなかった。
……だって、私は御稜ナグサだから。

※百花繚乱編2章 第26話「暗く、深い影の底から」 より

この直後ナグサが歩んできた軌跡がスチルでぶわーっと出されるわけなんですが。

雪原で絶望した状態から今に至るまでの成長を一瞬で追想できてめちゃくちゃ良かったです。

1章では「私はアヤメにはなれない」と期待から逃げていたナグサが、

今や「私は御稜ナグサだから」と憧れを止めて自分を認めて前を向いている……。

私は御稜ナグサ。
――誰が何と言おうとも、アヤメの一番の友達!

※百花繚乱編2章 第26話「暗く、深い影の底から」 より

生徒のこの成長を見てグッとこない先生がいましょうかいやいない!!(断言)

「誰が」には拒絶した本人であるアヤメも含まれるでしょうし、エゴな部分もあると思います。

それでも「自分はそうありたい」と宣言し、口だけではなくそのために行動する姿が私はとても好きだし、誠実さを感じます。

段階を飛ばしたりせず、絶望や間違いを経験しながら一歩一歩成長してきたナグサ。

それがナグサというキャラの、そしてこの物語の良さだと思います。

継承戦

ようやく語れます!!今回私が一番好きで演出と設定活用に唸ってしまったシーンです!

まずその入り方、

あなたが背負っているものを全部、渡してもらうために来たの。

※百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

この時点でおぉ……ナグサ……!ってグッと来てたんですが、

百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

これ見た瞬間に震えました。「うおおおおおおおおおおおおお」って一人で大盛り上がりしてました。

だって私完全に意識の外でしたよ継承戦の設定!?

それを本来の地位や立場、権限を継ぐためという意味合いなんかよりも

「あなたが苦しむその重荷は私が背負うから」って意味で継承戦を活用するとかセンスの塊……!!

「私はアヤメにはなれない」と言っていたナグサが、アヤメが背負いきれなかったものを「御稜ナグサ」として背負おうとする。「アヤメの一番の友達」であるために。

ああ百花繚乱ライターさんありがとう……好きだ……。これからもブルアカをよろしくお願いいたします……。

そして良さはシナリオのみならず演出面でも

百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

この影を背に光を見るアヤメと、光を背に影を見るナグサの対比ですよ!

百花繚乱編2章 第20話「本当の姿」より

演出がしっかりテーマに沿っているのも演出班さんのセンスが光ってます。

もちろん戦闘シーンの迫力やアヤメの心情をもぶつけるような言葉の応酬も良かったです。

そして決着……。

え!?メモロビ!?いいんですか!?

百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

いやオッドアイ吸い込まれそうに綺麗で可愛い……助けてマキちゃん俺この子。

百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

言えたじゃねぇか……。

泣き虫から絶望して成長して、間違って気づいて成長して強くなって。

それでもやっぱり泣いてしまう弱さを持ったまま強くなったのが、ナグサらしいというか。

笑顔を絶やさない完璧な委員長だったアヤメの代わりに、ではなく

「御稜ナグサとして」委員長になったんだなぁとしみじみ思います。

でもこれ本当美少女に鼻水まで出すぐちゃぐちゃの泣き顔させる癖のスタッフいませんか。いますよね。ミカも良かったです。

と逸れましたがそのメモロビシーン最後もまたいいんですよね。

やっぱり、私は――
あんたのその泣き顔が……大嫌いだったよ。

百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

ぶつかり合いの果てが満足そうな笑み浮かべて悪態付いて〆なんて大好きに決まってるじゃないですかーーー!!!

本当に最初から最後まで満足感たっぷりの第27話でした。

理解できない他人(もの)を通じて、己(たがい)の理解を得る方法

ブルアカで一番好きな言葉は?一番印象に残っている言葉は?

と聞かれたら私は迷わずこの言葉を選びます。

理解できない他人(もの)を通じて、己(たがい)の理解を得ることができる方法

※最終編4章 第8話「あまねく奇跡の始発点」 より

そして本来はリンが連邦生徒会長の質問に答えた言葉であり、

理解できない他人(もの)を通じて、己(たがい)の理解を得ることができるのか

最終編3章 第10話「天上の遥か彼方へ」 より

が元となります。

百花繚乱編のお話なのになぜ突然この言葉を出したのかというと、

今回のテーマの一つにこの言葉があるように感じたからです。

ナグサの成長で書いた通り、クズノハの問いにより初めてナグサは「自分がアヤメを理解できていなかった」ことに気づきます。

それと同時に「では今のアヤメに対してどうしたいのか?」と自分に問う必要が出てきたわけです。

その答えが

でも……分からなくても、アヤメが私を求めていなくても――
アヤメのそばに、いたい。

※百花繚乱編2章 第20話「本当の姿」より

でした。

私はここに「理解できない他人を通じて己の理解を得る」を見たのです。

拒絶され絶望し、仮面しか見れていなかった自分に悩み、それでも自分はアヤメのそばにいたいと気づけたのですから。

ルビを振っていないのはこの時点だとまだナグサ自身への理解のみで「たがい」ではないからです。

ではどこで「たがい」となったのか、それは継承戦で相対した時だと思っています。

ちがう。あなたの動き、呼吸、表情……。
その全部が「負けられない」って言ってる。前までのアヤメじゃない。

 ※百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

剥き出しで全身全霊をぶつけてくるアヤメの姿から、ナグサはその執着を知ります。

そして「まだ委員長の座に、未練があるの?」と問いかけるのです。

地位も、望みも、真面目さも捨てたら、私に何が残るっていうの……?
誰からも理解されず、誰からも認められなかったら、私は何のために生きればいいの!

……理由なんていらない。
……ただ、そこにいてくれれば。

私は……アヤメがいるだけで、よかった。

 ※百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

ここでアヤメの心からの叫びを引き出せたことで、

そしてそれを受けた上で自分の気持ちを伝えることで、「己(たがい)の理解」を得たと私は思っています。

果たしてナグサがまだ「完璧な委員長代理」としてアヤメを見ていたら、未練を問えたでしょうか。

「理由なんていらない」という言葉が紡げたでしょうか。

私は「アヤメに帰ってきて欲しい」と伝えるだけで「理由なんていらない」とまでは言えなかったんじゃないかと思います。

さらに己(たがい)の言葉通り、アヤメもまた理解を得ています。

一つはナグサが自分に向ける視線は過去と違って「委員長」という肩書ではなくただ「アヤメ」として一緒にいて欲しいというものであること。

そのためにこれまでの戦績を考えたら無謀とも言える継承戦を挑んでまでいるということ。

そして

百花繚乱編2章 第21話「視線」 より

自分は違うかのように告げる「そこ」とはいわば「視線の檻」もしくは「百花繚乱」でしょう。

ともあれ「自分は出られた」と思っていたアヤメもまた、

地位も、望みも、真面目さも捨てたら、私に何が残るっていうの……?
誰からも理解されず、誰からも認められなかったら、私は何のために生きればいいの!

 ※百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

自らの言葉でまだその視線に囚われていることを証明してしまい、知らなかった己を理解することになっています。

ナグサもアヤメも、理解できない他人(もの)を通じて、己(たがい)の理解を得ていたのです。

理解できない他人(もの)を通じて、己(たがい)の理解を得ることができるのか

だからこそ、今回のストーリーはその答えの一つだと私は感じたのです。

またこのテーマを思わせるような台詞もいくつか出ていました。

「所詮人に人の心は分からない」と告げるコクリコに対し先生が言った台詞です。

理解できないとして、それの何が問題なの?

理解できるまで、問い続ければいい。
だからみんな、寄り添って生きていき……。
互いから学ぶことをやめないんだよ。

※百花繚乱編2章 第26話「暗く、深い影の底から」 より

相手を理解することで、もしくは理解しようとするその過程で、己の理解も深まる。互いから学ぶ。

本質をとらえたいい先生節だと思います。

そしてアヤメも継承戦前に

百花繚乱編2章 第27話「つかんだ指先」 より

こんな事を言っています。

この時点ではアヤメにとってナグサは理解できない他人(もの)だったんじゃないかと思います。

でも最後の満足そうな笑みでの悪態は、きっとナグサの本心を……そしておそらく己(たがい)を理解したからだと私は思うのです。

「孤独に花を咲かせんとする君へ」後半(16~28話)感想まとめ

本当は

  • 「絶対これ人の欲しい言葉を的確に与えられる人じゃん」なシュロ懐柔ニヤ様
  • SAIKYO IKKAKU RAIONで笑ったと同時にデジモンワールド(PS)思い出したお話
  • 便利キャラ古関ウイ

とかも語りたかったのですが、良かった点を書くだけで膨れ上がってしまいました。恐るべし百花繚乱2章。

ナグサの成長の描き方と継承戦の扱い方がとても良かったのはもちろんですが、

個人的にはブルアカで一番好きな台詞である

「理解できない他人(もの)を通じて、己(たがい)の理解を得ることができる方法」

を感じられたのが特に嬉しかったです。

クズノハの「それでも助けたい者がいるなら」関連もそうでしたが、

「これまでのブルアカ」を丁寧に受け継ごうという意志と力量を見せて頂けた感じがするのです。

他にもコクリコやシュロ、黄昏に関して語りたいこともあるのですが、

考察っぽくなって文字数が多くなりそうなのでまた後日別記事として書いてみようかと。

それでは色々書いてきましたがこのあたりで。

わかるー、とかそこだよね!みたいに共感して頂けましたら嬉しいです。

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