※一部エデン条約編・最終編のネタバレを含みます。
4周年イベントであるCode:BOXで満を持して実装されたセイアちゃん。
イベントシナリオ冒頭での我の強さやミレニアムEXPO課外調査(フィールド探索)での自販機揺すりやマイクへ大声を出すなど、総じて
「あれ?思ってたよりもアグレッシブだな?」
と思った方も少なくないのではと思います。私も最初は「あ、素は意外とおてんばだったんだ」と少し面食らいました。
ですが少し立ち止まって今のセイアちゃんの状況や、過去の振る舞いを考えると自然と納得出来ました。
今回はそんな私が納得に至った考えの過程を3つの観点に分けて書いてみたいと思います。
もちろん存在する情報からの個人の考察にすぎないので、そういう解釈もあるかもね程度で読んでいただければ。
セイアちゃんの現状
まず現在セイアちゃんが置かれている現状について箇条書きで再確認してみます。
- 元々は予知夢の能力を持っていた
- エデン条約の事件にて予知夢を失い勘が鋭い程度へ
- 事件のダメージから寛解してはいるが完治とは言い切れない
特に重要なのが生来持っていたであろう「予知夢という能力を失っている」という点です。
幼いうちから他の人には見通せない未来が見えて生きてきた。
それは「百合園セイア」という性格を形成する大きな根幹の一つだったはずです。
家庭環境や突出した素質が性格に大きく影響するように。
ある意味他の人よりも高次の知覚がずっと出来ていたと考えれば、達観したような口調も少し高い位置からの物言いとなるのも納得できます。
それがある日突然失われた。
自分を形成してきた大きな根幹が失われた事は自身のアイデンティティを揺るがしかねない大きな問題です。
それまで当然のようにあった機能が失われることは「ある日突然視力・聴力を失った」に近いでしょう。
ですがアイデンティティという意味ではそれだけではなく「オリンピッククラスのランナーが事故で走れなくなった」「一流の画家が筆を握れなくなった」にも近いと思います。
絵が得意な方は視力、FPSが得意な方は聴力、料理が得意な方は味覚が無くなった事を想像してみるとその焦りと不安の一端が感じられるかと。
最終編のような自身の命・世界の存亡に関わる有事の際には「勘が鋭い」が発揮されていたこともあり表面化していなかったのかもしれません。
ですが平穏な日常の中では「普段通りの自分」が出ます。
その「普段」の根幹を失った今、自身の振る舞いについても今まで通り自信をもっては出来ないでしょう。

Code:BOX 02(第一話)自身の証明 より
「自分で自分を認められる」という言葉からもセイアちゃん自身、予知夢を失った己という存在に多少なりと不安を感じていることがうかがえます。
突然視力を失った人が今まで通りの自信をもって筆を走らせられないように、先の分からない未来を歩くのは今のセイアちゃんにとっては未知の領域です。
自身のアイデンティティの根幹をなす能力喪失による不安と焦り、そして今まで歩んだことの無い「全く知らない」未来。
こう考えると「自販機でお金を入れても商品が出てこない」「マイクから音が出なくて大声を出す」どちらもそこまで違和感ないように自分は思えました。
「想定外の事態」が発生することが初めてなんですから。今まではそんな正常に動作しない自販機やマイクは使わなければ良かったはずです。
不満をぶつけるという子供のような素直な反応になるのもそうおかしくはないかなと。
置いていかれる焦り
ここまではセイアちゃん本人の状態について書いてきました。
予知夢という自身の根幹に根差していたものを失い、かつ安静ということで今までの仕事はさせて貰えずよく言えば「保護された」状態、悪く言えば「軟禁」状態でした。
ではその周囲、ティーパーティーの二人はどうでしょうか。
ミカはエデン条約を通して精神面で大きく成長しました。
安全なお城の中で皆仲良くなれたらなと想うお姫様から、自分が傷つき悲しむ最中であっても誰かのために祈れる自分に。
そして自分と異なる意見にも耳を傾けられるようになりました。
ナギサもエデン条約を通じて疑心暗鬼に陥りやすい自信を鑑みれるようになりました。
信じる努力の大切さを感じ、実践するようになりました。
その様子はSerenade Promenade(アイドルイベント)でも感じられましたね。
そう、二人だけが前に進んでいるんです。
もちろんセイアちゃんもエデン条約を通じて知ろうとする努力を怠ったいた自分に気づく等成長はしています。
ですがセイアちゃんの目に移るのは
以前自分が「常のように、衝動で動いて事を過つ。それが君の悪癖だよ」と告げたはずの友人が、
聴聞会での決定を受け入れ、それまでの権限をはく奪され過剰なほどに理不尽な扱いを受けても耐えて前に進み続ける姿。異なる意見にも耳を傾けるようになった姿。
立場故に人を疑わざるを得なかった友人が、それでも「それが、今回悟った教訓ですから」と信じる努力を最大限続けている姿。動けない自分の分まで仕事を引き受けてくれている姿。
そして自分はというと本来の役割だったティーパーティーの外交事もナギサに代わってもらい、予知夢も失い、鳥かごの中の鳥のように大切に丁重に扱われている。
この状況で焦るなという方が無理があります。
Code:BOXプロローグでの意固地さや潜入捜査への熱量は「自分も変わりたい、何かを成したい」という気持ちからのもの。そう考えると納得出来ました。
予知夢を失ったとしても今までと同じようにできる。いや、昨日より一歩進んだ自分として二人の友人の横に立てるような成長した自分になりたい。
そういう焦りを含んだ感情あってのアグレッシブさだったのかなと思います。
ちらっと見えていた片鱗
ちょっと衝動的になってしまうセイアちゃんの片鱗はエデン条約の時からちら見えしていました。
ピンとくる方も多いと思いますがこのシーンですね。

エデン条約編4章 06(第6話) 折れてしまった羽 より
第6話ではこのシーンだけでなく冒頭からミカに詰めがちな対応をしてしまってましたね。
その様子からも「余裕のない状況では衝動に任せて行動してしまう」片鱗はあったと言えるでしょう。
そして前2項目で記載した通り、今のセイアちゃんの精神状況はこの時ほどではないかもしれませんが「余裕のある状況」ではないはずです。
まとめ
というわけで三つの角度から4周年イベント時のセイアちゃんについて考えてみました。
自身をこれまで形成してきたアイデンティティ喪失による不安な状況と、友人二人だけが成長して自分は前に進めずにいる焦燥感、それに加えて以前からの片鱗。
この三つを考えてみると、個人的にはCode:BOXでのセイアちゃんの挙動にそこまで違和感はないかなと。
セイアちゃんが予知夢で知り得る範囲や予知夢の指向性等確定していない部分にも寄った考察ではありますが、エデン条約3章15話「五つ目の古則への答え」の行動や会話、
「先生の夢にちょうどいいタイミングで登場したこと」
「…君も、その後はどうなったのか見ていないんだね?」(先生)「…見る必要が、あるのかい?」(セイア)
「…私もこの目で、最後まで見届けるとしよう」(セイア)
からある程度「現れる夢」「夢を止めるタイミング」「見る夢」を選べると考えてもそう外れていないような気がします。

エデン条約編3章 15(第15話) 五つ目の古則への答え より
16話以降も離れた場所から夢で状況説明セイアちゃんやってくれてますしね。
であれば自分なら近々で緊急事態が無ければ今日寝る時は明日の事は予知夢しようとするかなーと思った次第です。
と最後にちょっとだけ予知夢の解釈について脱線しましたが、4周年イベントでのセイアちゃんの様子についての考察は以上です。
ここまで読んでくださった方、ありがとうございました!