夏空のやくそくシナリオ感想|絵本を閉じて歩き出したお姫様

【ネタバレ注意】ブルーアーカイブの2025年7月開催イベント「夏空のやくそく」の感想です。「聖園ミカに関連したシナリオの内容も含みます。

今年の夏はティーパーティーの夏!

皆さんはもう読まれましたか?読まれた方はどの場面が印象に残っているでしょうか?

ミカとナギサ、イチカとカスミ、ミカとイチカ……良いシーンが多すぎて選べない。なんて人が多いんじゃないかと思います。私もそうです。それくらい良いシナリオでした。

ただその中でも特に私に刺さったのは、絵本の物語に憧れていた夢見るお姫様こと聖園ミカの成長です。

なので今回はミカの成長に主軸を置きつつ今回のイベスト感想を語っていきます。

ミカの変わらない「根幹」

今回のミカの成長はエデン条約編の時からすると目を見張るほど大きなものです。

でも根っこにはミカらしさがちゃんと残っていて、だからこそ私は今回の変化を「成長」と感じられました。

という事でまずはミカの根幹から語っていきます。

地頭の良さとしたたかさ

「ミカは政治に向いていない」ハナコを筆頭に多くのキャラが口にする評価です。

でも誰も「頭が足りていない」とは言わないんですよね。セイアちゃんの憎まれ口くらいでしょうか。

実際ミカは頭が切れます。

補習授業部のプールでは疑心に繫がるような情報を真実も混ぜた上で選別して与えていますし、本質を突いた煽り言葉の切れ味は頭の回転の速さあってこそです。

エデン条約編3章 第16話「いくつかの欠片たち」より

そして自分のキャラクター性を活かして嫌いな相手とも笑顔で会話できるしたたかさも持っています。自覚的か無自覚かは別として。それは上の自分を利用しようとする生徒を相手取る表情からも見て取れるものです。

そう、だからいっそナギちゃんにでも、私が言ったことを全部そのまま流したりしてれば……
多分今頃は堂々と、ここまで来た先生に笑って会えてたんだろうな。

 ※エデン条約編3章 第3話 ポストモーテム(3) より

先生がいっそ自分を疑って「敵」と思える存在になってくれれば、「笑って会えてた」ともとれるこの台詞も私の印象に深く残っています。

底抜けに明るくてフレンドリーでありつつ、垣間見える知性や笑顔の裏にある嘘や本心がギャップを生む。

可愛くポップな純粋無垢さと同居した知性と狡猾さ。ミカの魅力の一つだと私は思っています。

公式ショートの「先生、ちょっとお話しよっ #8」から溢れる知性と教養そしてミカらしさは是非摂取したい栄養素です。多分夏バテにも効く。

前置きがちょっと長くなりましたが、何が言いたいのかというと

本イベントでも「ミカってそういうとこあるー!」となった部分があって嬉しかったというお話です。

夏空のやくそく 第1話「バカンスに行こう!」より

バカ!アホ!ナギちゃん!!可愛すぎない?

そしてこのthe・駄々っ子ムーブとセイアの裏切りもあってナギサは「毎日毎日我慢している」という言質を取られてしまうわけです。

この時点でもう「あーミカってそういうこと計算してやれるよねー」と私はニッコニコだったわけなのですが。

夏空のやくそく 第1話「バカンスに行こう!」より

その実すべてはナギちゃんのため。

なのにおくびにもそんなそぶりを見せず、ただ「自分が楽しみだから手伝ってくれてありがとね!」って振る舞うのがまさにミカであり、根底に根差す善性の一つだと思うのです(ろくろ回し)

思い返せばアリウスとの和解も「ただアリウスに手を差し伸べたい」それだけでした。

最終編でコハルを助けた時もそうです。颯爽とピンチを助けて、周囲には魔女と言われ正義実現委員会からも微妙な視線を向けられても「まだやることあるからお先☆」と満足そうに帰る。

「ただ自分がそうしたかったからそうした」

であって、その行動に評価や尊敬を求めているわけじゃないんですよね。

エデン条約編3章 第16話「いくつかの欠片たち」より

感情が大切で打算も時には入るけど、欲しいのは数字や視線じゃなくて、自分の心が満足する結果のみ。

セイアに指摘されるまで真意を言わないのも、「別に言う必要がないから」だと思います。友人想いだと思われたいとか、うまくやったことを自慢するとか、そんなことはミカにとってはどうでもいいんじゃないでしょうか。

ナギちゃんを休ませられる

これが全てで周囲にどう思われるかなんて些事でしかないのです。

キャラクター性を利用するしたたかさと、その目的の純粋さ。そんな「ミカらしさ」が感じられてとても良い第1話でした。

今回正義実現委員会が全権限をはく奪されたミカを慕い従ってくれるのも、

ナギサを休ませるためやセイアの口添えがあったから等だけではなく、最終編での純粋なコハル救助の影響もあるんじゃないかなーって思ってたりします。

誰かのために自ら動く姿

今回のイベント第5話「見えなかったモノと見てなかったモノ」ですね。

自分のネイルがダメになるのも気にせず率先してスクリューのゴミを取り除いたり、ホコリまみれで蜘蛛の巣まで張っている部屋の掃除もやらせるのではなく一緒にやる。

そんなミカの姿に魅せられてイチカは「私は、あの輝きが消えてほしくない。」と大嫌いだったカスミに頭を下げにさえ行きます。

ミカはこんなセイアちゃんともナギちゃんとも違う「人を動かす力」を手に入れたんだ……!と最初は「成長」の方に分類しようと思ってたんです。

でもよくよく考えてみると、これってミカが元々持っていた善性では?

エデンの全てが狂い始める前、ミカはアリウスと和解するために他の誰かに任せたりするではなく、自ら単身で接触を試みています。

エデン条約編4章 第18話「もう一人の私たち」 より

「あなた達は多分、まだ私たちを憎んでいるよね?」

憎まれていると知っていて、罵詈雑言どころか暴力さえ浴びせられるかもしれないと分かっていながら、その身一つで会いに行ったのです。誰かに任せるではなく、自分で。

残念ながらその純粋無垢な願いはマダムに利用され悲劇に繫がっていきますが……。

エデン条約編4章 第18話「もう一人の私たち」 より

この時既に、ミカの姿は一人の心を動かしていたのです。

もちろんミカは自分の力に自信がありますし、この時は「自分に大きな損害が無い範囲」だから自ら動けたという考え方もあると思います。

実際エデンを経ていない、甘やかされたお姫様のままのミカが「自分のネイルがぐちゃぐちゃになっても」「自分が埃まみれになるとしても」率先して動こうとしたか?と問われるとそれを「できた」と言えるだけのシーンは見つかりませんでした。どこまで行っても空想です。

でも私はなんとなく、あの時のミカも同じように率先してスクリューのゴミを取りに行くし、掃除も一緒にやるように思えるのです。その後「ネイル?また塗って貰えばいいじゃん☆」くらいは言うかもしれませんが(笑)

私が感じたミカの「成長」

本イベントの一番の目玉、それはすなわち「エデンの事件を経て、聴聞会後ミカはどのように変わったのか」だと私は勝手に思っています。

さらに言うなら絆ストーリーの先生に依存しかけたミカがあの後どうなったのか、です。

個人的には100点満点でした。

特に水着ミカ絆ストーリーは私にとってミカというキャラクターの最後の一ピースと言っても過言ではないくらいです。

という事でここからはそのあたりについて語っていきます。

衝動で動いて事を過つ

エデン4章ラストでセイアが告げたミカの「悪癖」。

実際ミカが地頭は悪くないにも関わらず「政治に向いていない」と言われる一番の理由はこれだと私は思っています。良くも悪くもその時の感情最優先で、先を見通した判断が出来ないからではないかと。

エデン襲撃の発端となったセイア襲撃もそうです。あれはアリウスとの和解のためにホストになる必要があった事に加えて普段から少しずつ蓄積されたイライラもあり、様々な面からミカの感情はそれを「正解」としたのでしょう。

でもその時ミカは考えたのでしょうか?「ホストになるため」であるなら「次はナギちゃんを襲わなくてはならない」という事を。多分そこまで考えては無かったのではと私は思います。

さてそんな悪癖ですが、今回はなりを潜めるどころかちゃんと意志の力を持って制御できています。

夏空のやくそく 第4話 「交渉の先、手にするモノ」 より

全面的にハルナが悪いと分かっても、相手が嫌いなゲヘナであっても言えた

「今はもっと大事なことがあるからね」

この言葉こそミカの成長を象徴する台詞だと個人的には思っています。

人を騙し、己を偽り。
人を傷つけ、己を痛めつけ。

そんな事をしておきながら、
結果を受け入れることが出来ずに泣いてしまう――そんな子だ。

 ※エデン条約編4章 第19話「無限の可能性」 より

先生のこの台詞に表されるように、これまでのミカはその時の感情であっちへこっちへ方向性が変わっていました。無軌道に無際限にその時の感情に動かされ突っ走っていたのです。

その傾向は心を守るため「ゲヘナ殲滅のためにホストにならないと」と合理化のバイアスに囚われた後でも表れています。ホストにはならないといけないけど、ナギちゃんを失いたくはない。その両方を取りに行った結果として、ミカは「姿の見えない真犯人」という優位性を捨てることになりました。

そんなミカが「今はもっと大事なことがあるからね」ですよ……!?

感情に優先順位を付けられるようになって、本当に一番大事なことを大切にできるようになった。

しかも大切にするために、先を見据えて行動まで出来ています。ここまでの成長を見られて先生冥利に尽きるとはこのこと。

さらに言うと、ミカがこれを出来るようになった最初のタイミングはサオリを助けるためにバルバラを引き受けた時だと思っています。

エデン条約編4章 第23話「少女たちのためのキリエ(1)」 より

この時ミカは確かに「自分の望み」よりも、「相手の幸せ」を祈りました。一番大切だと思った事のために、自らの命をも張ったのです。

ですがあれは事態が事態。自分の心が救われた直後の瞬間であり、命もかかったいわばヒロイックな場面。場の空気に酔って決断してもおかしくない状況でした。

でも今回のミカは違います。あくまで日常の延長線上でこの決断が出来ているのです。

一時の気まぐれでなく、自分の価値観や判断基準がより善いものへ恒常的に変わること。それを「成長」と呼ぶのだと私は思います。

ミカにとっては地獄のようなあの事件。でもそれは今確かにミカの成長に繫がる糧ともなっている。私はただただそのことが嬉しい。

最悪な出来事が最悪なまま終わらず、何かの芽生えや成長のきっかけとなる。現実でもよくあることですが、ミカにとってのエデンもそうなってくれて本当に良かった。心からそう思っています。

絵本を閉じて自分の足で

本イベント内でセイアちゃんはこんな問いかけを先生に投げていました。

夏空のやくそく 第3話 「ストーリーテラーのシナリオ」 より

ナギサを馬車引きネズミに例えたものですが、私は「ならお姫様はミカだよね」となんとなく考えながらストーリーを読んでいました。

……あの子は今まで甘やかされながら生きてきた。
皆が彼女を崇め、讃える――童話に出てくるお姫様のような存在として。

 ※エデン条約編4章 第4話「夢と蜃気楼の狭間で」 より

本当にお姫様のような境遇で育ったミカは、しかしエデンでの過ち以降少し自傷的になっていました。

エデン条約編4章 第23話「少女たちのためのキリエ(1)」 より

御伽噺のような幸福に憧れつつも、「でも私には」と諦めてしまっていたのです。

この傾向はエデンが終わった後の絆ストーリーでもまだ尾を引いています。せっかく買ってもらった水着を台無しにされ「今回は本当に頑張ったのに」と涙を流しながらミカは言うのです。

ミカ絆ストーリーEP04「きずあと」より

相手の悪感情の大元はエデンの事件ですし、ミカと無関係とは言えません。でも「ミカが今回頑張った事」と「相手の悪意」には関係がありません。「頑張っても無理なんだ」は自傷に寄りすぎています。

この時のミカはこう感じて当然ですし、決して責める意図はありません。ですがやはり「頑張ったら必ず報われる」「心を入れ替えて行動すれば全て上手く行く」なんて考えもまた御伽噺なのです。この時のミカはまだ絵本を手放せず、そんな幸福を夢見て、叶わずに苦しんでいました。

しかし今回は違います。

地盤沈下で別荘が倒壊し、全てが台無しになった直後にも関わらず。

夏空のやくそく 第6話 「今再び、交渉の先、手にするモノ」 より

これが言えるようになったんですよ……!!!

「誰も」です。

他の誰かを責めるのでも、やり場のない気持ちをぶつけるのでもなく。そして何より自分自身を「やっぱりダメなんだ」と責めるでもない。ミカ……!!

しかもそれだけではなく、

夏空のやくそく 第6話 「今再び、交渉の先、手にするモノ」 より

ちゃんと現実を見て、次善案を考えられています。

最初に描いたハッピーエンドへ無理してでも進んで二人を危険にさらすよりも、二人の命が大切と先を考えられています。「衝動で動いて事を過つ」とまで言われていたあの子がです。

そこで挫けて動けなくなったり、御伽噺のような奇跡の展開に期待せず現実的な妥協案をとれた。

私はその姿を見て「ミカはもうまっすぐに現実を見据えて、自分の足で歩きだしたんだ」と安心出来ました。お姫様は絵本を閉じて馬車を降りたわけです。

……ただ成長と共に置いて来てしまうものに一抹の寂しさが無いと言ったら嘘にはなるのですが。

とそれでもミカが前を向けているのなら、これから生きていく成長としては大切なことだと思ってました。十分満足していました。いたんです。

そしてこれを書いているうちに水曜日が訪れました。そう。水着ミカ実装です。

だから……。
私も、幸せになるよ。

 ※水着ミカ絆ストーリー EP05「いつかの私へ」より

もう100点満点花っ丸です!!ここ!ココナ教官スタンプ押す場所ここです!!!

「幸せになりたかった」でも「幸せになれるかな」でもない。

「幸せになるよ。」

あまりに完璧。ミカの成長物語の到達点はここと言っても過言ではないくらい私の心を撃ち抜いてくれました。感極まりすぎて涙出そう。出た。

御伽噺を読んで「いつかこんな幸せがやってこないかな」とその日を待ち焦がれたお姫様はもういません。

「自分を幸せにしていくんだ」という意思を持ったお姫様がここにはいます。

なんだこの笑顔。

その決意と一緒にその笑顔見せられて墜ちない先生がいるかって言ってんの!!

しかも表題が「いつかの私へ」ですよ!?

過去であるならば、自分は絵本の主人公ではないと俯いていた「いつかの私」への解答であり決別でしょう。

未来であるならば、この決意はこれから先また挫けてしまう「いつかの私」が思い出した時立ち上がる力になるでしょう。

「そう決めたんだから」と。

しかもそれが先生と神秘的な絶景を見た直後ですからね!?この光景と記憶が記憶に刻まれたらもう怖いものなんてないよなぁ!?ミカぁ!

たとえ何があっても今のミカは乗り越えていける。はぁ……なんですかこの溢れんばかりに満たされ切った感情は……。

100億点満点花丸です!!!

まとめ|エデンを乗り越えたその先で

という事で今回のイベント(+水着絆ストーリー)がめちゃくちゃ素晴らしかったというお話でした。

ミカが大人になって先生にでもなったらエデンの事件を思い出して、

「あれは本当に辛くて二度と経験したくない出来事だったけど……でも、あの時がなかったら今の私はいないと思うんだ。」

とか語っててほしい。語っててくれ。そしてその傍らにはサオリ先生もいて昔話に花を咲かせてくれ。二人とも恥ずかしがりながら今を悩む生徒にあの時の話を笑い話として語ってくれ。

そして今の、特に水着絆ストーリー後のミカには「Princess Brave!」という曲がとても似合うと思います。

もしお時間ありましたら是非聞いてみてください。歌詞も含めて良い曲です。

それではこの辺で。

せっかくエデン条約編を読み直したので、次はミカのエデンでの心情推察か水着セイアちゃんのシナリオ感想あたりでも。では~

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